8/10/2008

ボールダーの政治的傾向


今年は4年おきに行なわれる選挙の年だ。現在大統領候補のマッケインとオバマが、シノギを削っているところだが、アメリカで民主党候補、共和党候補といわれてもピンと来ない方も多いだろう。そのために、共和党の価値観と民主党の価値観の違いをほんの少しだけ触れるようにしよう。

マッケイン候補は共和党だ。共和党は、元々は政府など公的部門(small government)を最少限にして、個人の発意でものごとを進めれば、ことがうまく行くと考える政党だ。なるべく政府の規制を排除して、公的部門の活動を少なくするので税金が低くなり、個人の自由のもとで事業ができるようにしたいというものだけに、一般的には経済界にサポーターが多い。しかし、もともと共和党の党理念と絡んでいるのか判らないが、伝統的な家族を中心とした価値観や宗教観を推し進めているために、アメリカのバイブルベルトや保守層の間でもサポーターが多いのも事実。実業界に強い反面、所得層の低い白人などの基盤なども持っている政党だ。以前は別かもしれないが、最近では比較的、強い愛国主義者が多く、自国中心の考え方が強くなっている。マッケイン候補は、独立独行な共和党異端者(maverick)と言われており、完全な共和党マインドではないが、ブッシュ現大統領と施策では90%以上同じだと云う点で保守的な候補には違いない。

オバマ候補は民主党候補だ。民主党は伝統的には、組合など労働運動の組織をバックにしていることからも、小さな政府よりは、政府の福祉厚生などでより積極的な施策、労働者の保護、弱者の保護をとってきた傾向がある。政府の活動を高めるというポジションから、支出が増大すると見られており、高額所得者への課税強化、つまり、所得の再配分を目指す傾向も強い。なので、ビジネスマンや事業家の中には民主党の経済政策を支持しないことが多い。民主党は、社会政策をより積極的にとることで知識人やリベラルな人にサポートをされるところが多い。また、民主党のオバマ候補は、アメリカ企業が海外投資をしていることで職を輸出しているとの立場を取っている。そのような企業に対しては、税制優遇策を与えないようにしようという政策を打ち出そうとしている。エネルギー政策では、代替エネルギーの開発で、エネルギー自給独立を訴えており(マッケインも似たところがあるが、より沖合油田の石油掘削を積極化しようとしている)、環境派的な代替エネルギー促進を主としている。

11月に行なわれる選挙は、大統領選挙だけでなく、上下両院の選挙も行なわれ(上院は3分の一しか改選されない)、州議会、市議会などの地方自治体レベルまで変わるのである。

今日は長い前置きだが、なぜこのように説明してきたかというとボールダーの政治的な傾向をお知らせしたくて書いたまでのこと。ボールダーは、リベラルの牙城と見られており、民主党傾向がとても強い。郡の公職にある人で、選出された共和党系の人はいない。それ程リベラルなのだ。当然、こちらはオバマ候補者を立てようとする傾向が強い。コロラド州は、牧場主などが多くこれまで共和党派を支持する人が強かった。しかし、コロラドの発展に伴い、人口流入が多くあり、多くのハイテク系の人たちが入ってきている。そのために、共和党保守派の安全な選挙区だったコロラドが接戦州の一つになると見られている。ボールダーは、その中では異色な自治体なのがよくお判りいただけるものと思う。しかも、その傾向はますます強くなってきているのだ。まさに異色派ボールダーなのだ。

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